賃借人が破産した場合の賃貸借契約

2020年07月07日

賃借人が破産した場合の賃貸借契約

 

新型コロナウィルス感染症の影響により、今後、賃借人が破産するケースが増えてくるものと考えられます。今回は、賃借人が破産した場合に賃貸借契約がどうなるか、詳しく解説していきたいと思います。

 

賃借人が破産した場合に、賃貸借契約が解除できると考えられている方もいますが、結論的には、破産したことそれ自体を理由として賃貸借契約を解除することはできません。これは、賃貸借契約書に「賃借人が破産したときは解除できる」という記載があったとしても、例外ではありません。

 

この点については、旧借家法の時代に最高裁判決(最高裁昭和431121日判決)があり、同判決では「建物の賃借人が、破産宣告の申立てを受けたときは、賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は、賃貸人の解約を制限する借家法1条の2の規定の趣旨に反し、賃借人に不利なものであるから同法6条により無効と解すべきである」と、破産を理由とする解除の特約自体を無効と判断しています。そして、この判決が現在の借地借家法のもとでも妥当すると解釈されているからです。

 もちろん、これは破産しても賃料が支払われている場合であって、賃借人に賃料の不払いがあれば、賃料不払いを理由として契約を解除し、立ち退きを求めることができると考えられます

 

なお、通常は3か月程度の賃料不払いがあると賃貸借契約を解除できるといわれることが多いのですが、新型コロナウィルスの影響による賃料不払いについては、法務省民事局が以下のとおり、「3か月程度の賃料不払いでは信頼関係が破壊されておらず、契約解除が認められないケースも多い考えられる」と指摘していることに注意が必要です。

 

 

法務省民事局の見解

 

日本の民法の解釈では、賃料不払を理由に賃貸借契約を解除するには,賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていることが必要です。最終的には事案ごとの判断となりますが, 新型コロナウイルスの影響により3カ月程度の賃料不払が生じても、不払の前後の状況等を踏まえ、信頼関係は破壊されておらず、契約解除(立ち退き請求)が認められないケースも多いと考えられます。

 

 アパートなどの住宅であれば、破産したとしてもそのまま賃借人が住み続けることも多いと考えられますが、店舗など法人の場合ではどうなるでしょうか。

 この場合、破産手続が開始されると、破産した法人の財産は、破産管財人が管理することになります。そして、破産管財人には、賃貸借契約のような双務契約を解除する法律上の権限がありますので、契約が解除されることになるでしょう。

 この場合、破産手続が開始されてから契約が解除されるまでの賃料は、「財団債権」といって、優先的に支払ってもらえることになります。これに対して、破産手続が開始されるまでの未払賃料は、「破産債権」といって、「財団債権」よりも支払の優先度が落ちます。配当の対象とはなりますが、敷金等でカバーされない限り、わずかな支払いしか期待できないことが通常です。

 

このように、破産手続が開始される前か後かで、優先的に支払われるかが変わってきます。

これと同じ理屈で、敷金の差し入れが少ないで、テナント等の原状回復費用がかかる場合には注意が必要です。破産手続開始後に破産管財人により賃貸借契約が解除された場合には、原状回復費用等は、「財団債権」として優先的に支払われる場合があります。(裁判所によって取扱いが異なります。)これに対し、破産手続が開始される前に、賃料不払い等で賃貸借契約を解除すると、原状回復費用は「破産債権」となり、優先順位が低くなってしまいます。

 

 要するに、破産手続が開始される前に、賃料不払いにより解除した場合に、結果として、原状回復費用が支払われるかどうか、が変わってしまう可能性があるので、取扱いは要注意です。

 

 

 

今回は新型コロナで増えてくるであろう、賃借人の破産による契約解除について詳しく解説しました。今後新型コロナの蔓延はいつまで続くか予想するのはなかなか難しいですが、不測の事態にも、柔軟に対応していただけたらと思います。

 

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